「生まなきゃ良かった」と言われ続けた。それでも私は「生きてて良かった」と思い続ける。

私が生まれたその日。産科の医師や看護師たちは「おめでとうございます」の一言もなく無言で私を別室に運んだと母から聞いた。

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私が幸せになれるわけがないって思っていた。
でも大丈夫。あなたはきっと、一人じゃない。

私は先天性の四肢障がい・口唇裂があり、
これまで15回の手術をして、今に至ります。

手の指は中指・薬指・小指が数センチしかなく、
関節がなく曲げることのできない指もあります。

足の指も同様で短く左右の大きさが違い、
右足の一部は手術の後遺症で、痛い・痒い・熱いといった感覚がありません。

これまで、虐待やいじめ、差別。
色々なことがありました。

生まれないほうが良かったのかな
もう死にたいな

っていつも思っていました。

ずっとずっと、私が幸せになれるわけがないと思って生きてきました。

だけどそんな私は今、とても幸せに毎日暮らしています。
先天性の障がいがあっても、愛情に恵まれ、笑顔に満ちた家族と生きています。

今すごく辛かったり、悩みがある人、
人生を諦めてしまっている人がこれを読んでくれていたとしたら
どうかどうか、
希望を持ってみようと思ってほしいな

と思い、この記事を書いています。

 

人生は捨てたもんじゃないよ。
簡単にあきらめるもんじゃない。
負けないで
と私はみんなに伝えたい。

私の言葉が、あなたに少しでも、
届きますように。

「医者に頼んで殺してもらえ」と言われた私の誕生日

先天性の四肢障がい・口唇裂で生まれた私の状況を
父が祖母に説明したとき、祖母は
それなら医者に頼んで殺してもらえ
と言ったそうで。

このやり取りを私はお盆と正月に毎回祖母から、親戚が大勢いる中で笑い話として聞かされました。

いつもいつもその度に泣きたくなる気持ちを殺して、
「そう思うのも仕方がないことだったよね」
って本心とは逆の返事をしてやりすごしました。

祖母はいつも、
「お前のお母さんはお前が生まれたことでお前のせいで大変だったんだからな、ちゃんと親孝行せえよ」
って言いました。

…でもその母は、私の面倒はほとんどみてくれない人でした。

何度言われたかわからない「生まなければ良かった」

母がやらないので、昔から私の世話は全て父がしてくれていました。

食事の用意、通院の付き添い、お風呂…。

いつもテレビの前で横になり寝ていた母と、
公園に行ったことは一度もありませんでした。

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「なんで生んでしまったんだろう」
「生まなければ良かった」

ずっと、そう言われ続けて生きてきました。

一度だけ、
母が「泣かなかったら欲しいものを買ってあげるね」って
予防接種のときに言ってくれたことがありました。

私はとっても嬉しくて、痛くても我慢して泣かずに予防接種を受けました。

そうしたら、黄色いボールを買ってくれて。
私の宝物でした。

でもこのときだけ黄色いボールを、なんで買ってくれたの?
と以前に聞いた時、

「泣かれるとみんなが振り向いて
手がないことを気づかれるから」

という返事が返ってきました。

母は私の手をずっと隠したがっていたんです。

幼少期は世間の目を気にした母から、外で遊ぶことや友だちを作ることは禁止され、家の中で一人で遊んでいました。

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「(障がいのある)手を隠しなさい、足を隠しなさい、
手袋や靴下を履いていなさい

とずっと言われ続けていたので、

私は恥ずかしい存在なんだ
隠さないといけない存在なんだ

という認識が幼い頃からずっとありました。

さらに私の世話を押し付けられた父から、
性虐待と暴力が始まりました。

父が作る食事。
毎日私に渡すごはんには、お箸が垂直に刺さっていました。

下を向きながら歌った「幸せなら手をたたこう」

小学校に入ると、辛い場所が家以外にもうひとつ増えたように感じました。

手足のことが原因で、
グループから外されたり、席が隣になると嫌がられました。

じゃんけんで私の手ではグーしか出せないことをみんな知っているから、
毎回負けてゴミ当番は毎日のこと。臭い臭いと指をさされました。

音楽で「幸せなら手をたたこう」を歌う時、

母がいつもいない家で、父に殴られ蹴られ、
怒鳴られている自分の姿が頭に浮かびました。

さらに機嫌のいいときは、私の身体を触る父。

ちっとも幸せじゃない、なのに歌わなきゃいけない。

幸せなら手をたたこう
幸せなら手をたたこう

下を向きながら歌ったことを覚えています。

私の居場所はどこにもない、そんな中学校時代

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私はその後、小学校時代の子が誰もいない中学校に入学しました。

知らない人しかいない学校。
つまり、だれも私の障がいのことは知りません。

親から「障がいを隠しなさい」と言われて育てられた私は、
いつも手をグーにして、制服で隠して過ごしました。

ある日、「なんでいつも手を隠してるの?」と隣のクラスの友だちに聞かれました。

私にとってその子は大切な友だちだとおもっていたから、
「生まれつきなんだ」って正直に話をすると、
「そうなんだー」という答えが返ってきて、その話は終わり。

でも次の日から、私の学校生活が一変しました。

朝登校すると、仲良くお弁当を食べていたグループの子から、
「今日は一緒に食べない」と突然言われました。

その日から毎日、中学3年間。
みんながグループごとに丸くなったり、ワイワイ楽しそうにしているなかで
1人でお弁当を食べました。

先生に相談したこともあったのですが、
「もう小学生じゃないんだから、自分でなんとかしろ」って言われて、結局助けてはもらえませんでした。

ダンスの授業で「靴下を履かせてほしい」と伝えても受け入れてはもらえず、指を刺され足を覗き込まれて笑われました。

死ねと言われたり、ものを隠されたり。
机に花瓶が置いてあったり、注文していないバラ100本が届いたりしました。

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お弁当を食べるのも1人。
教室移動も1人。
家に帰れば、育児放棄の母と暴力的な父。

この頃、私の居場所はどこにもありませんでした。

全ての期待はなくなり、
私は1人でも大丈夫、と自分自身に思い込ませることでなんとか気持ちを保っていました。

かすかにあった自信すらなくし、自身の存在意義を失う母からの言葉

そんな学校生活を送っていた私の成績はどんどん下がっていきました。

今思えば、授業中勉強が頭に入る心理状態ではないし、成績が下がるのは当たり前です。

そんな私に母は、
あんたは何もできない子なんだから。ちゃんと生まれもしなかったし
って言いました。

この言葉を言われた時、私の心がぐちゃっと潰れた音がしました。

その言葉が私が生きてきた中で一番傷ついた言葉で、
私の中にあったかすかな光も、一瞬でその時に消えました。

もういじめられたくない、変化の高校時代

中学校から高校に上がるとき、私はもう二度といじめや陰口、いやがらせは受けたくない、そう思いました。

私がいじめにあう原因は何か?その時考えました。

1、障害
2、暗さ
3、体型
4、頭の悪さ

箇条書きにして考えた原因を、ひとつずつ潰していこうと思いました。

1番の障がいは変えることができないので、2・3・4を高校入学までに変えようと決意。

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1ヶ月で断食と運動をして8キロ痩せて、何を試着してもすんなりと服がはいるようになりました。

中学の勉強を全て復習し、髪型も変えまるで別人の姿で高校の入学式を迎えると、今まで話しかけてこなかった中学校のときからの友だちが、「痩せたね、痩せたね」って話しかけてきました。

初めて努力が報われたようで、とても嬉しかったことを覚えています。

中学の時はビリに近かった成績も、学年上位4位まで上がりました。

テレビで面白いことがあれば、
学校で真似をして、みんなを笑わせて。

安室奈美恵や相川七瀬の曲を一生懸命練習して、
友達と毎日カラオケに行った。

網タイツ履いて出かけたり、プリクラを撮ったり。
おしゃれをすること、遊ぶこと。

学校が楽しい、友達が楽しいと知ったのは高校からでした。

手足のことは気づかれていたと思うけど、この時もう指摘する友だちはひとりもいませんでした。

夫との出会い、本物の愛との出会い

とはいえ、その後も全てがうまくいっていたわけではなくて。

突然始まった、母からの性虐待。
他人からの性被害もありました。

さらに父親からの虐待のフラッシュバックにも苦しみ、せっかく就職した仕事に泣きながら通勤した日々。

でも、その心の痛みを理解して支えてくれた人がいました。
それが今の夫でした。

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夫と出会って、人に愛されることの幸せを初めて知りました。
結婚後は2人の子宝にも恵まれました。

誰からも強制されず、誰からも怒鳴られない、4人の家族。

支え合い、助け合い、笑顔がいっぱい。
本物の愛を夫と子どもたちから教えてもらいました。

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たくさんの傷を受けてきた人ほど、きっとずっとずっと強い。

これまで色々なことを乗り越えてきた私は、

人生は一度きりだから、周りに流されていてはいけない

最近、そう思うようになりました。

自分が気にするほど、自分は他人の目に写っていないし、
写っていたとしても障がいと人格を一緒にひっくるめて何かを決めつけてくるような人は、大人になっていくうちに徐々に減っていくことを知りました。

今、辛くて悩んでいる人へ伝えたいこと。

見た目で人を判断するような人を、
気にする必要は全くありません。

傷がついた心や身体は、傷がついていなかった状態には完全には戻らないかもしれません。

だけど、心というものは、
傷の修復のためにいろんな力が加わって、補強されて、
強くなっていきます

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私も当時は一日を生きることに精一杯でとても苦しかったけれど、
たくさんの傷を受けてきた人ほど、
とてもとても強いです

傷ついた経験が、時を経て
強くなった心に気づくことができる日が必ず来ます。

トラブルやマイナスな出来事には、
悪い面だけではなく、良い面もひっそりとたたずんでいて

タイミングを見計らって
Hello!!やっと気づいたね」って
顔を出してくれます。

だから、経験は宝物。

傷つけた側は、違った形だったり、
全く同じ形で学ぶ日が必ず来ると思っています。

だから、今が辛くても、
どんなことがあっても、
生かされている命を大切にして、今を生きていってほしいなと思います。

過去のトラウマや経験に、怒りや恨みをもつのはもうやめよう、
そう思うととても気が楽になります。

私はこれまでの経験があったからこそ、
この手足でうまれてきたからこそ、
今何を大切にしなければいけないかがわかりました。

経験は宝物です
これまでの経験がなかったら、今の私はいなかったのだから。

未来は自分で決めるもの。一番大事なものは「心」

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どんなことがあっても
何が一番重要かといえば やはり 心 なのではないか、と思います。

どんな苦労をしても
どんな障害を持って生まれてきても

心が荒んだり、ぶれたりしなければ、
寄り添って支えてくれる人もいるだろうし、
分かり合える仲間にも出会えます。

今現在は心の傷を癒す仕事をしていますが、死ねと言われていた私が、「ありがとう」と言われる人生に自分で変えることができました。

笑って生きるのも
人を恨んで生きるのも
同じ一生です。

未来は、自分が決めていくものです

学校が本当に嫌だったら、行かなくたっていいんです。
不登校であったとしても、大検に合格すれば大学にだって行けるし、通信で学ぶことだってできます。

大人になってから学ぶことだって十分できます。

ひとりじゃないよ。きっと、大丈夫。

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今悩みがあっても、
今度はきっと、それがあなたを輝かせる光となってくれます。

人は皆、何かを抱えて生きています。
みんな必死に乗り越えようとしています。

越えた時に初めて、あの経験は無駄じゃなかったと思えるのかもしれません。

私も、今まで支えてくれた夫へいつか恩返しができるように・・・。
家族が笑顔で暮らし続けられるように・・・。
そして悩んでいる人が少しでも減るように、

私は歩み続けます。

あなたもきっと大丈夫だから、希望を持って。
あなたは一人じゃないよ。

この文章が誰かの目に留まり、
差別や、いじめや、虐待や、人権侵害が少しでもなくなっていくきっかけになりますようにと願っています。

 

【乳がんサバイバー】過去の苦しみは「未来の幸せの土台」に変わる!人生観を変えた仲間と誕生日

10月1日、無事に誕生日を迎えられました!

乳がんになってから、3回目の誕生日を迎えられるなんて、思っていなかったので、こうして今、生きていられることが、心からうれしい。

 

私は、日常的な母からの虐待、父からの性被害、四肢欠損、乳がんなど、本当に生まれた瞬間から色々なことがありました。

「複合的サバイバー」なんて呼ばれたりもしますが、過去は悲しみや憎しみに満ちていて、「どうして私ばかり?」とずっと苦しんでいました。

そんな中での乳がんの経験は、私の人生観をガラッと変える、大きなきっかけでした。今回は、その変化についてお話しします。

乳がんのイメージ画像

全摘手術直後の様子を伝えるLINEのスクショ(夫側)
全摘手術直後 LINEのスクショは夫側

当たり前の日常がくれた幸せ

夫は私のために午前中仕事をめっちゃ頑張って、午後半休とって帰宅。

車に乗って二人でランチへ

和牛ハンバーグと珈琲

おいしい

家族写真のためにおやつで釣られている愛犬ゴールデンドゥードル
愛犬ゴールデンドゥードル

 

過去の苦しみは「未来へのジャンプ台」考え方を変えたXの仲間

新婚旅行の思い出の写真
新婚旅行

夫と出会ってからもう20年か・・・ってハンバーグを食べながら夫婦で話してた。

 

“経験は宝物”

 

今思えば、

過去の苦しみはぜーんぶ未来のしあわせを築くための「土台」だ。

 

どうしてそう思えるのか?

それは、X(旧Twitter)を通じて多くのサバイバー仲間と出会えたから。

 

苦しくて仕方なかった過去の経験苦しかった経験は、私たちを繋ぐ共通の架け橋となった。

どんどん仲間が増えて「生きててよかった!」と心から思えるようになっていった。

悲しみも、憎しみも、傷つける人への念も、持ち続けなくていい。

それらの痛みの経験を教訓と力に変えて、重い感情は捨て去り、思いっきり飛躍したらいい。

 

こう思えるまでに20年以上かかってしまったけど、

乳がんになったからこそ、考え方が変わったんだ。

娘、息子、夫、愛犬…家族の愛がくれるやさしさ

私が知らないところで、プレゼントを選んで、

包装して、絵まで描いてくれた娘。

バイトの帰りにアイスを買ってきてくれた息子。

私のために忙しいのに半休してハンバーグをご馳走してくれた夫。

家族写真のためにおやつで釣られている愛犬。

ありふれた当たり前の日常が、ありがたくてしあわせなんだよね。

【性被害・虐待サバイバーが語る】なぜ私だけが不幸?心の傷を乗り越え、今日から幸せを掴む方法

「なぜ私だけがこんなに不幸なんだろう」と涙するあなたへ

 

かつての私も、性被害、虐待、いじめ、四肢障害、口唇口蓋裂、そして乳がんという壮絶な経験を抱え、「どうして私だけが」と心の底から泣き崩れる日々を過ごしました。

電車に乗るたび、鏡を見るたび、他人の楽しそうなSNSを見るたびに、その悲しみは根深く、暗いものでした。

ですが、すべてを抱えながらも、私は心の底から「生きててよかった」と思える日々を今は生きています。

もしあなたが今、「自分だけが人生の階段を登れていない」と感じているなら、それはあなたの心が弱いからではありません。不幸だと思い込む「思考のフィルター」を通して世界を見てしまっているだけかもしれません。

この記事では、心の傷を癒し、不幸から抜け出す方法を探しているあなたへ、私が長年の経験を通して得た「幸せのヒント」を具体的な行動と視点の転換法で解説します。

今日から、過去のこころの痛みを力に変え、あなただけの幸せを「再構築」する道を一緒に歩み始めましょう。

 

1. 「私は不幸だ」という思考が定着する心理的な背景と根本原因

 

「私は不幸だ」という強い思い込みは、どこから来るのでしょうか。この思考パターンが生まれる心理的な背景と原因を理解することが、心の傷の癒し方の第一歩です。

 

1-1. 他者との「比較」と「劣等感」が生む「自分だけ不幸」感

 

現代は、SNSなどを通じて他人の「最高の瞬間」や「完璧に切り取られた一部」ばかりが過剰に露出します。私たちは無意識のうちに、その理想化された情報と「ありのままの自分」を比較し、心のシャッターを閉ざしてしまいます。

比較は、不幸の感情を生み出す最大のトリガーです。他人の表面的な成功と、自分自身の裏側にある悩みや苦労を比べてしまうことで、「私は劣っている」「自分だけが人生の階段を登れていない」という根強い劣等感が植え付けられます。

このサイクルこそが、あなたの心の中に「自分だけ不幸」という確信を生み出す温床です。まずは「比較をやめる」ことが、心の傷を癒すための重要な一歩となります。

 

1-2. 過去の傷・トラウマが「思考のフィルター」を形成するメカニズム

 

幼少期の虐待やいじめ、性被害といった辛い体験(トラウマ)は、単なる思い出ではありません。それは、あなたの「心のOS(オペレーティングシステム)」に書き込まれたネガティブなプログラムとして機能します。

ネガティブな自己認識の固着:

  • 「私は愛される価値がない」
  • 「幸せになってはいけない」
  • 「どうせ私には無理だ」

この固着した信念が、あなたの「思考のフィルター」を形成します。まるで色のついた「色眼鏡」をかけているかのように、あなたは現実を歪んだ形で見てしまうのです。このフィルターが機能している限り、目の前に幸せな事実があっても、それはあなたの目には「見えないもの」になってしまいます。

 

1-3. 繰り返される苦しい経験と「確認バイアス」が不幸を固定化するメカニズム

 

苦しい出来事が連続すると、「やはり私は不幸だ」と、その既存の考えを無意識に証明しようとする心理が強力に働き始めます。これが確認バイアス(確証バイアス)と呼ばれる、不幸感を維持してしまう最大の壁です。

確認バイアスとは、あなたの認識を歪ませる強力なフィルターです。

  • 小さな良い出来事があっても、「たまたまだ」「どうせ長くは続かない」とすぐに否定し、頭から追い出す。
  • 自分に向けられた小さな親切や愛情にすら気づけず、それらを「幸せな事実」としてカウントしない。
  • 一方で、少しでも失敗したり、ネガティブな出来事があると、「ほら、やっぱり私は不幸だ」と強く認識し、既存の信念を決定的に強化してしまう。

このバイアスにより、「不幸である自分」というセルフイメージが深く定着し、負の「不幸のループ」が完成します。この強力なバイアスの存在に気づき、今日から意識的に「幸せのヒント」を探す努力を始めることが重要です。


 

2. 私が実践した「不幸のループ」を断ち切る具体的なヒント

 

原因がわかったら、次は具体的な行動を起こし、そのループを断ち切ることが重要です。ここでご紹介するのは、実際に私が「心の傷の癒し」に大きな効果を感じた、今日からすぐに取り入れられる、具体的でシンプルな不幸から抜け出す方法です。

 

2-1. 自分を責める「言葉」を見える化して手放す:思考の棚卸しと書き換え

 

頭の中で繰り返される「私はどうせ成功しない」「私には価値がない」といった自己否定の言葉は、あなたの心のエネルギーを最も奪う「毒」です。この思考は、脳内で自動再生される「心の癖」に過ぎません。これを「思い込み」から「事実に即した認識」へと書き換える作業を始めましょう。

私が実際に、口唇口蓋裂や四肢障害のことで「私は人に笑われる、ひとつも価値のない人間だ」という自己否定を抱えていた時も、このステップで乗り越えました。

 

実践ステップ:自己否定の「心の癖」を断ち切る3段階

 

ステップ 内容(実践方法) 目的と効果
ステップ1:見える化 頭の中で囁かれるネガティブな言葉をすべてノートに書き出しましょう。(例:「私はいつも失敗する」「人から嫌われている」) 思考の客観視: それが「自分自身」ではなく、「自分の思考」の一部であると分離して捉えられます。
ステップ2:事実検証 その言葉が「客観的な事実」なのか、「根拠のない思い込み」なのかを横に正直に書き分けます。(例:『失敗した経験はあるが、「いつも」ではない』 → 思い込み) バイアスの解除: 不幸を固定化する確認バイアスを打ち破ります。
ステップ3:言葉の書き換え 「思い込み」だと気づいた言葉を、「私は(今日)〇〇ができた」「私は(〇〇という)価値がある」といった、より現実に基づいた肯定的な言葉に書き換えます。 自己肯定感の醸成:新しい肯定的な言葉であなたの心の声(セルフイメージ)を書き換えます。

2-2. 毎日「小さなできたこと日記」をつける習慣:自己肯定感を育む土台作り

 

自己肯定感は、大きな成功から生まれるのではなく、毎日の小さな行動への「承認」から地道に育まれるものです。この習慣は、確認バイアス(「できたこと」を無視する心の癖)を意図的に打ち破るための訓練です。

私が乳がんの手術後、体力と気力がどん底だった時、この習慣が心の支えになりました。

  • 「今日はベッドから起き上がれた」
  • 「ご飯を一口でも食べられた」
  • 「水を一杯飲んだ」
  • 「この記事を最後まで読めた」

どんなに小さく、「当たり前」と感じる行動であっても、それを意識的に「できたこと」として記録し、自分自身を承認してあげましょう。この積み重ねこそが、「私にもできる」という揺るぎない自己肯定感を徐々に育みます。

 

2-3. 安心できる居場所・人を選び直す:「心の安全基地」を築く

 

心の傷を癒すためには、あなたのエネルギーを奪う人間関係や環境から距離を置き、自分を無条件に肯定し、支えてくれる「心の安全基地」を意図的に作り直すことが不可欠です。

自分を否定したり、過去の傷をえぐったりするような人間関係は、あなたの回復を妨げます。

  • 相談できるコミュニティを探す: 共通の悩みを持つ人が集まる場所や、専門家が運営するオンライン・オフラインのコミュニティを探す。
  • 信頼できる友人や専門家に頼る: すべてを一人で抱え込まず、ジャッジせず話を聞いてくれるカウンセラーなどに頼る勇気を持つ。
  • 心が落ち着く場所(自然の中、図書館など)で「つながり」を意図的に持つ時間を確保する。

安心できる居場所を持つことで、あなたは初めて心の鎧を脱ぎ、自分を大切に扱い、気力を回復させることができるようになっていきます。

 

2-4. 感情を表現し、内側から解放する:心のデトックスを習慣化

 

不幸だと思い込む人の多くは、感情を抑圧する癖を持っています。抑え込んだ感情は、心の傷となり、心身を蝕みます。心の傷を癒すためには、感情を「抑え込む」のではなく、安全な形で「感じて流す(解放する)」習慣を意図的につくることが不可欠です。

  • 泣く: 我慢せずに涙を流すことは、心と体の緊張を解き、感情を外に出す非常に効果的なデトックスです。
  • 書く(ジャーナリング): 誰にも見せないことを前提に、頭の中のネガティブな感情や考えをひたすらノートに書き出す。
  • 話す: 信頼できる人を選び、解決策を求めず、ただ自分の感情をそのまま打ち明ける。

感情の解放は、心の傷の癒し方において、避けて通ることのできないプロセスです。

 

2-5. 過去を「価値」に変える意味づけをする:苦悩を力に変えるプロセス

 

これまで経験してきた苦しかった出来事や心の傷は、単なる「不幸の記憶」で終わらせる必要は一切ありません。むしろ、それらは誰にも奪えない、あなただけの「経験値」であり、計り知れない価値を持っています。

  • 性被害の経験があるから、苦しんでいる人に真に寄り添える。
  • 四肢障害があるから、バリアフリーに対する意識が深まった。
  • 虐待の経験があるからこそ、本当の優しさと愛情の価値を知っている。

このように捉え直すことで、過去の傷は「呪縛」から「賜物(ギフト)」へと変容し、揺るぎない自信の源泉となります。あなたの過去の苦難は、必ず未来の誰かを救う「価値」へと変えられます。経験は宝物です。

 

3. 不幸を手放すのではなく、見方を変える心のOSのアップデート

 

本当に大切なのは、「不幸」という感情を無理に否定したり、手放そうとすることではありません。そうする代わりに、それに対するあなたの「見方」そのものを根本的に変えることです。

 

3-1. 「不幸=呪縛」から「不幸=経験と学び」に変える視点転換(調整後)

 

過去の苦しい出来事を、いつまでも「私を縛りつけ、制限する鎖(呪縛)」として心の中に持ち続ける必要はありません。大切なのは、その経験を「私を成長させ、深みを与えるための経験と学び」だと捉え直すことです。

視点転換がもたらす最大の変化

この視点の転換こそが、あなたの人生に最も大きな変化をもたらします。

 

  • 自己肯定感の強化: 過去の苦難が「乗り越える力」の証明となり、「私は困難を乗り越えられる人間だ」という揺るぎない自信に変わります。
  • 未来への希望: 経験が学びとなることで、過去は「足かせ」ではなく「未来を創るための知恵」「生き抜くための戦術」へと変わります。

その苦しみを「私を成長させるための必然の経験だった」と、あなた自身が意識的に再定義することから、真の不幸からの脱出が始まります。

「そんな風には思えない」と、あなたは今、顔を曇らせているかもしれません。

ですが、考えてみてください。 何の苦労も悲しみも経験していない人が、あなたのように人生をより良くしようと、必死にこの記事を読んだり、解決策を探したりしているでしょうか?

答えは「いいえ」です。

悲しいことや辛いことがあったからこそ、人生をどうにかしたくて、あなたは今、この文章に出会っています。

その「どうにかしたい」という想いと、困難を乗り越える中で培われた「生きるための知恵」こそが、何も経験していない人には決して手に入らない、あなただけの宝物であり、強さなのです。

この意識的な意味づけこそが、心の傷の癒しをもたらし、不幸からの脱出を可能にするのです。

3-2. 完璧を求めず、小さな変化を認める姿勢:「自己ジャッジ」をやめる

 

不幸だと思い込む人の多くは、無意識のうちに「完璧主義」の罠にはまっています。少しでもつまずくと「やはり自分はダメだ」と自己ジャッジを下し、挫折してしまうのです。

しかし、心の回復は、決して劇的な「点」で起こるものではなく、地道な「線」で続いていくプロセスです。

  • 「昨日の自分よりも少しでも楽になったこと」
  • 「悲しい気持ちになったけれど、すぐに引きずられなかった」

このような小さな変化を意識的に認め、自分自身を褒めてあげてください。「これでも十分だ」と自分に許可することで、あなたは初めて、安心して回復の道を歩み続けることができるようになります。

 

3-3. 波がある心に焦らない

 

心の回復の道のりは、決して一直線ではありません。調子の良い日もあれば、急に過去の傷が疼いたり、理由もなく落ち込んだりする日もあるのが自然な心の波です。「波があること」は、回復の途上にある証拠なのです。

落ち込んだときに「せっかく良くなってきたのに」「また元に戻ってしまった」と焦りを感じ、自分を厳しく責めてしまう(自己ジャッジ)ことが、回復を妨げます。

  • 焦らない: 完璧な状態を目指さず、「今はこういう時期だ」と受け流す。
  • 自己ジャッジを減らす: 落ち込んだ自分に「ダメだ」とレッテルを貼らず、「ただ疲れているだけかもしれない」と優しく声をかける。

自分自身に優しく、穏やかに接する余裕を持つことが、結果として心の傷をより早く、そして深く癒すための秘訣となります。

 

まとめと次の一歩

 

この記事を通して、あなたが長年抱えてきた「不幸だと思い込む思考」が、過去の傷や確認バイアスという心の仕組みによって作られていたことをご理解いただけたでしょうか。

あなたはすでに、不幸のループを断ち切るための具体的なヒント

  • 自己否定の書き換え
  • できたこと日記
  • 安心できる居場所の選択など

を知りました。

今日からできる、あなたの最初の一歩は何でしょうか?

まずは、大きな変化を求めず、今日一日のうちに「小さなできたこと」(顔を洗えた、この記事を最後まで読めたなど)に意識的に目を向け、それを褒めてあげることから始めてみてください。

小さな「できた」の積み重ねが、あなたの未来を必ず変えていきます。

 

もし一人で抱えきれないなら

 

もし、一人で心の傷を抱えきれない、具体的な不幸から抜け出す方法について専門的なサポートを受けたいと感じたら、個別相談もしています。

こころの傷 相談室からのご案内

私は、性被害・虐待・いじめを経験したカウンセラーとして、あなたの心の回復をそっと支えていきます。安心できる場所で、あなたのペースで、
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⚠️ トリガーアラート:この記事では「虐待」「いじめ」「性被害」など心の傷に関する内容が含まれます。読むことでつらい気持ちになる方もいるかもしれません。必要に応じて読み進めるかご判断ください。

はじめに

人間関係のトラブルや理不尽な言葉、過去の苦しい出来事・・・。私たちの心はさまざまな体験で深く傷つくことがあります。

心の傷は本当に治るの?

元の自分に戻れるの?

どのくらいで癒えるの?

これは多くの方が抱える疑問です。

私は「こころの傷相談室」代表カウンセラーをしています。同時に、虐待・いじめ・性被害・四肢障害・口唇口蓋裂・乳がんサバイバーとしての経験があります。だからこそ、机上の理論だけでなく、経験×心理学的知見をもとにお伝えできるのです。

心の傷が癒えるまでにかかる時間

心の傷の回復には大きな個人差があります。

  • 軽いショックや誤解 → 数日〜数週間で落ち着くこともある
  • 深い裏切りや喪失体験 → 数か月〜数年かかる場合もある
  • 虐待やいじめなどの反復的体験 → 複雑性PTSD(Complex PTSD) につながり、長期化することが多い(NHS公式)

私が虐待や性被害のトラブルの渦中にいた2000年頃は、今のようにネットも普及しておらず、心の傷やトラウマに対応できる病院を見つけることはできませんでした。専門的な診断や治療を受ける機会もなく、ただ孤独の中で耐えるしかなかったのです。

現在では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や複雑性PTSD(C-PTSD)に対応する医療機関があり、認知行動療法やEMDRなどの心理的アプローチを受けられる環境があります。もしあの頃にこうした支援があれば、私自身の心の傷も少しずつ和らいだかもしれません。

ただし、被害の体験を人に打ち明けることはとても難しいものです。

  • 「どう思われるだろうか」
  • 「変な目で見られるんじゃないか」
  • 「好奇の目で見られるのでは」
  • 「あなたが悪い」と責められるのでは

こうした不安が自然にわいてくるのは当然のことです。実際、私も長い間話すことができませんでした。

心理学的な理解:「悲嘆のプロセス」

心の回復は直線的ではなく、波のように進むと心理学では言われています。「悲嘆のプロセス」と呼ばれ、ある日は元気でも、翌日は涙が止まらないことがあります。これは回復の自然な過程であり、自分を責める必要はありません。

私自身も、心の傷の波を感じながら少しずつ前に進んできました。焦らず、自分のペースで回復していくことが大切です。

傷ついた心を抱える人の特徴

心の傷を抱える人には、心理学的に次のような反応がみられることがあります。これらは決して「弱さ」や「怠け」ではなく、心が自分を守ろうとする自然な反応であり、自己防衛のサインと考えられます。

過覚醒(Hyperarousal)

小さな刺激や音、言葉にも敏感に反応してしまう状態です。例えば、急な声や予期しない出来事に強く動揺したり、常に緊張感を持って過ごしてしまったりすることがあります。心理学では、過去の危険体験によって脳が「警戒モード」に切り替わってしまっている状態とされています。これは心が生き延びるために自然に働く反応です。

再体験(Intrusive Memories)

フラッシュバックや悪夢として、過去のつらい出来事が繰り返し心に蘇ることがあります。あたかもその出来事が「今ここ」で起きているかのように感じられ、強い恐怖や不安に襲われることもあります。これも心が過去の危険を忘れず、次に同じ危険に遭わないよう警戒している防衛反応です。

回避(Avoidance)

つらい記憶や感情に直面することを避けようとする行動です。具体的には、過去の出来事を思い出させる場所や人を避けたり、心の中で思い出すこと自体を遮断しようとしたりします。回避行動は一時的には心を守る効果がありますが、長期的には感情を整理するプロセスを妨げることもあります。

自己否定(Self-Blame)

「自分が悪かった」「自分のせいだ」と自分を責める傾向が強くなります。虐待やいじめ、理不尽な出来事を経験した人は、無意識のうちに「自分が悪い」と思い込むことがあります。心理学ではこれは自己防衛の一種で、「心が状況を理解しやすいように整理している」反応と考えられています。ただし、この思考が強すぎると、自尊心の低下や精神的疲労につながることもあります。

自尊心が傷つくとどうなる?

自尊心は「心の免疫力」とも呼ばれます。自分を大切に思う力が弱まると、心のバランスを保つ力が低下し、さまざまな影響が現れます。

自分に価値がないと感じる

自尊心が傷つくと、「自分はダメだ」「生きている価値がない」と感じやすくなります。例えば、職場での評価や人間関係のトラブルで、些細な出来事にも過度に落ち込んでしまうことがあります。この感覚は、心が自己防衛として「自分を低く見積もる」ことで、再び傷つくリスクを避けようとしている自然な反応でもあります。

人間関係を避けるようになる

自分に価値がないと感じると、他者との関わりを避ける傾向が強くなります。「どうせ自分は理解されない」「また傷つくかもしれない」と思い、孤立してしまうことがあります。心理学では、これを回避行動と呼び、短期的には安心感を得られる一方、長期的には孤独や心の回復の妨げになることがあります。

新しい挑戦に不安を感じる

自尊心が低下すると、新しいことに挑戦する意欲も減少します。「失敗したらまた自分の価値が下がる」と考え、行動を控えてしまうのです。これが続くと、自己効力感(自分は行動できるという感覚)も低下し、さらに心の回復が遅れる悪循環に陥ることがあります。

身体症状が出やすくなる

心の状態は身体にも影響します。不眠、頭痛、食欲不振、肩こり、消化不良など、さまざまな症状として現れることがあります。心理学では、これを「心身相関」と呼び、心のストレスが身体症状として表れる自然な反応と考えられています。

幼少期の体験とコアビリーフ

特に虐待やいじめを受けた方は、幼少期から「自分には価値がない」という深い信念(コアビリーフ)を持ちやすく、これが自尊心の回復における大きなテーマとなります。この信念は無意識に形成され、生涯にわたり行動や感情に影響を与えることがあります。しかし、心理学的アプローチやセルフケアを通じて、徐々に書き換えていくことが可能です。

自尊心を回復する方法

自尊心は一度大きく傷つくと、元の状態に戻るのは簡単ではありません。ですが、心理学的な研究や臨床経験からも「少しずつ回復させることは可能」だとわかっています。ここでは、日常生活の中で取り入れやすい回復の方法をご紹介します。

1. 小さな努力を認める

「今日はベッドから起きられた」「散歩に出かけられた」「仕事のメールを一通だけ返せた」──このような些細な行動を意識的に評価してみましょう。
心理学では、こうした小さな成功体験を積み重ねることで 自己効力感(自分は行動できるという感覚)が高まり、自己肯定感の土台となると考えられています。大切なのは「大きな成果」ではなく「小さな一歩」を見逃さないことです。

2. セルフ・コンパッション(自分に優しくする)

「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込むよりも、「私は十分に頑張っている」「苦しいのは自然なこと」と自分に優しい言葉をかけることが回復には役立ちます。
心理学者クリスティン・ネフによる研究(Neff, 2003)では、セルフ・コンパッション(自己への思いやり)がストレス軽減や幸福感の向上に有効であると示されています。自分を責めるのではなく、友人に接するように自分にも優しく接してみましょう。

3. 認知の歪みに気づく(心理学的アプローチ)

心が傷ついていると、「私はダメだ」「誰からも必要とされていない」といった極端な思考にとらわれやすくなります。これを心理学では 認知の歪み と呼びます。
例えば「ダメだ」と思ったときに、「本当にそうだろうか?」「ただ疲れているだけかもしれない」と修正してみる練習が有効です。認知行動療法(CBT)はこの考え方を整理するための代表的な方法であり、研究でも有効性が示されています(NIMH, 2023)。

4. 安全な人間関係を持つ

安心して話せる人の存在は、自尊心を回復するための大切な支えになります。孤独は不安や自己否定を強める一方で、信頼できるつながりは「自分は受け入れられている」という感覚を育てます。家族や友人に限らず、カウンセラーや支援団体など、安心して気持ちを話せる場を持つことが回復の大きな助けになります。

5. 身体を大切にする

心と身体はつながっています。睡眠不足や栄養の偏りは、不安感や自己否定を強めてしまうこともあります。十分な休養・栄養・軽い運動を意識することは、「私は大切にされていい存在だ」と心に伝える行為でもあります。ヨガや呼吸法など、体を通じたケアは心の安定にも役立つとされています。

トラウマはいつ消えるのか?

心理学的な理解

トラウマは「完全に消える」というよりも、時間や支援を通して「苦しみの意味づけが変わる」ことで、日常生活への影響が少しずつ減っていくものだと理解されています(NHS, 2023)。
多くの研究や臨床の現場で、以下のような変化が報告されています。

  • フラッシュバックや悪夢が徐々に弱まることがある

  • 苦しい記憶が「今の出来事」ではなく「過去の一部」として整理される

  • 「あの経験を生き延びた自分」を認められるようになる

  • 自分の弱さではなく、回復力やレジリエンスに気づける

心理学ではこれを「記憶の再統合」や「意味づけの変容」と呼びます。つまり、トラウマは消えるのではなく「心の中で別の形に整理される」のです。

体験者としての実感

私自身も、虐待や性暴力被害という経験を「なかったこと」にすることはできません。今でもその記憶は存在しています。けれど、時間をかけてカウンセリングやセルフケアを続けるうちに、「あの経験があるからこそ今の自分がいる」と再定義できるようになりました。
もちろん、痛みや悲しみが完全に消えるわけではありません。しかし、過去の出来事に押しつぶされるのではなく、「私はその状況を生き抜いた」という事実を受け止められるようになったことで、苦しみは少しずつ和らいできました。

消えるのではなく、形を変えていく

トラウマ体験は多くの場合「傷跡」として心に残ります。ですが、それがずっと同じ強さで自分を苦しめ続けるわけではありません。信頼できる人とのつながりや、心理的支援、そして時間の経過によって、記憶は心の中で新しい意味を持ち直していきます。
「消えることはなくても、付き合い方を変えていける」──これが心理学と、そして私自身の実感から言える大切な視点です。

トラウマとの付き合い方

トラウマは「消そう」とするものではなく、「付き合い方を工夫する」ことで日常生活に与える影響を減らしていくことができます。心理学的にも、回避や抑圧ではなく「安全な方法で記憶を整理する」ことが回復の鍵になるとされています。ここでは代表的な方法をご紹介します。

1. フラッシュバックへの対処

突然、過去の記憶が映像や感覚として蘇る「フラッシュバック」は、トラウマ体験をもつ人に多く見られます。そのとき大切なのは、「今ここに自分がいる」という感覚を取り戻すことです。

  • 深呼吸をして、息の出入りに意識を向ける(グラウンディング)

  • 足の裏で床を踏みしめたり、手を軽く叩いて現実の感覚を確かめる

  • 部屋にある物を声に出して数える(例:赤い椅子、白いカーテン…)

こうした方法は、脳に「過去ではなく今にいる」という合図を送る役割を果たします。

2. 無理に忘れようとしない

「忘れたい」と思うほど、記憶は逆に強まることがあります。心理学では、抑圧や回避がフラッシュバックを悪化させることが知られています。大切なのは「過去はあるが、今とは別のもの」と切り分けることです。
「その出来事は私の一部ではあるが、私のすべてではない」と考えることが、心の自由度を広げてくれます。

3. 安全な環境を整える

安心できる場所や人とのつながりは、回復のための土台となります。逆に、不安やストレスの強い環境では、心が常に警戒モードになり、トラウマ反応が強まりやすくなります。
信頼できる人と過ごす、落ち着ける空間を持つ、SNSやニュースなど刺激の強い情報から距離を取ることも大切です。

4. 専門家と相談する

心理的アプローチの中には、効果が研究で示されている方法があります。たとえば、認知行動療法(CBT)や眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)は、トラウマ治療に有効とされています(Lancet Psychiatry, 2018)。ただし、どの方法が最適かは人によって異なります。必要に応じて、カウンセラーや医療機関に相談することが推奨されます。

5. 「弱さの物語」から「生き延びた物語」へ

トラウマ体験は「私は弱い」「傷つきやすい」というニセのストーリーを生みます。しかし心理学的には、「あの状況を生き抜いた」という事実に注目することが回復につながるとされています。
「傷ついた私」ではなく「生き延びた私」という視点に立つことで、過去の出来事がただの苦しみではなく「自分の強さを証明する物語」として再定義されていきます。

言葉に傷ついたときの対処法

誰かの言葉は、ときに鋭い刃のように心に突き刺さることがあります。特に自尊心が弱っているときは、何気ない一言でも大きなダメージになることがあります。心理学的な観点から、言葉に傷ついたときの対処法を紹介します。

1. 「相手の価値観」と「自分の本質」を切り分ける

誰かの否定的な言葉は、その人の価値観や考え方を反映しているにすぎません。それがあなたの本質を決めるものではありません。
「その言葉は相手のもの。私は私のままでいい」と切り分ける練習をしてみましょう。これにより、言葉の影響を少しずつ弱めることができます。

2. セルフ・トークで自分を支える

否定的な言葉に心が揺れたときこそ、自分自身に優しい言葉をかけることが大切です。心理学では「セルフ・トーク」と呼ばれ、自己肯定感を回復させる方法の一つです。
「私は大切な存在だ」「私は十分に頑張っている」と、自分に語りかけてみましょう。繰り返すことで、心の中に新しい信念が育っていきます。

3. 信頼できる人に話す

言葉による傷は、心の中に閉じ込めてしまうと余計に大きくなります。信頼できる人に話すことで、「自分だけが抱えている苦しみではない」と感じられます。心理学的にも、社会的サポートはストレス緩和に大きな効果があることが分かっています。

4. 書き出して外に出す(表現的ライティング)

研究レビューでも、感情を文章にする「表現的ライティング」が感情整理やストレス軽減に有効であると報告されています。ノートやスマートフォンに「言われてつらかったこと」「そのときの気持ち」を書き出すだけでも、心の中での混乱が整理されていきます。
「書く」という行為そのものが、心の中の痛みを外に出す安全な方法となります。

癒しのための小さなヒント

花言葉と癒し

花は、言葉にならない感情をそっと伝えてくれる存在です。心理学でも「自然とのふれあい」はストレス軽減や気分の安定に効果があるとされ、部屋に花を飾ることは小さなセルフケアの一つになります。

花言葉には、それぞれの花が持つ象徴的な意味があります。心の傷を癒す手助けとなる花をいくつかご紹介します。


🌼 カスミソウ:「清らかな心」「感謝」

白く小さな花が寄り添うように咲く姿は、孤独を和らげてくれる存在です。「小さな優しさを思い出す花」として、自己否定が強まったときにそっと寄り添ってくれます。


🌹 青いバラ:「奇跡」「夢叶う」

かつて存在しないとされていた青いバラは、「不可能を可能にする」象徴です。トラウマや困難に直面している人にとって、青いバラは「希望は消えない」というメッセージを届けてくれます。


🌻 ヒマワリ:「あなたを見つめる」「憧れ」

太陽に向かってまっすぐ伸びるヒマワリは、前を向く力を思い出させてくれます。落ち込んで下を向きがちなときに、視線を空に上げるように促してくれる存在です。


🌷 チューリップ:「思いやり」「博愛」

春を告げるチューリップは、新しい始まりを象徴します。トラウマや心の傷に区切りをつけ、「また歩き出そう」と思うときにおすすめです。


🌸 桜:「精神の美」「優美」

日本人にとって特別な花である桜は、はかなくも美しい人生を象徴します。散ってもまた咲く姿は、「回復と再生」のメタファーとも言えます。


花を暮らしに取り入れる工夫

  • 小さな花を一輪挿しにして、デスクやベッドサイドに置く

  • 季節の花を飾り、自然のリズムを生活に取り込む

  • ドライフラワーや押し花を取り入れて、長く楽しむ

花は「解決策」にはなりませんが、心を支える小さなリソースとなります。心の傷の回復は長い旅路ですが、花の存在はその道のりにそっと彩りを添えてくれるのです。

日常で使える癒しグッズ

ちょっとした道具が日常の安心感を作ってくれます。以下は比較的取り入れやすいアイテムです。

  • 感情ノート / ジャーナル:感情を書き出すことで整理できます(表現的ライティング効果あり)。
  • アロマディフューザー & エッセンシャルオイル:リラックス効果のある香りを取り入れる。
  • 安眠グッズ(アイピロー・加湿器・ブランケット):睡眠の質を整えることで心の安定を支える

心の傷の回復のポイント(まとめ)

  • 心の傷の回復には時間がかかるが、回復の波は必ずある

  • 自尊心の回復 が癒しの中心になる

  • トラウマは「消す」のではなく、意味づけを変えることで和らぐ

  • 安全な環境・セルフケア・心理学的アプローチ が有効

  • 元に戻らなくても、「新しい自分」を育てることができる

  • 一人で抱え込まず、安心できる人や専門家に相談することが回復を早める

  • 花・音楽・言葉など、日常の小さな癒しを取り入れることで心の支えになる

  • 回復は直線的ではなく波のように進むため、落ち込む日があっても自然なプロセスと理解することが大切

参考リソース

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子どもがいじめを打ち明けたら?親がかける言葉と避けたい言葉【体験談あり】

子どもがいじめにあっていると知ったときに私が実際に行動した体験談

私は息子が小1入学すぐにいじめ集団で暴力被害を経験し、転校をしたことをきっかけに、カウンセラーの資格を取得しました。親としてつらい経験でしたが、学びに変えた今だからこそ伝えられることがあります。

この記事では「子どもがいじめを打ち明けてきたときにかけるべき言葉」と「親としてできるサポート」について、体験談とカウンセラーになった母としてお伝えしていきます。


いじめを打ち明けられたときに大切なこと

子どもがいじめを打ち明けてくれるのは、親を信頼している証拠です。それと同時に、親の対応が今後の信頼関係や子どもの心の回復に大きく影響します。大切なのは「すぐに解決策を伝えること」ではなく「受け止めること」です。


子どもにかけたい言葉と避けたい言葉

かけたい言葉

  • 「話してくれてありがとう」
  • 「あなたのせいじゃないよ」
  • 「とても勇気がいったね」
  • 「あなたは悪くない」

避けたい言葉

  • 「気にしすぎじゃない?」
  • 「強くならなきゃ」
  • 「やり返せばいいじゃない」
  • 「あんたが悪いからやられたんでしょ」

否定や解決を急ぐ言葉は、子どもの気持ちを閉ざしてしまいます。まずは安心して「話してよかった」と思える環境をつくりましょう。


カウンセラー視点からの解説

子どもは言葉で状況を整理しながら心を癒していきます。そのため、遮らず最後まで聞くことがとても大切です。アドバイスよりも「共感」と「安心感」を優先すると、子どもの心が落ち着きやすくなります。


私の体験談:息子にかけた言葉

息子がいじめを打ち明けてきたとき、私も最初は動揺しました。でも、今生きていてくれているだけでいいんだ、と思おうと必死でした。

「話してくれてありがとう」「ママが守るからね」「怪我が治るまで学校を安もう」と伝えました。その言葉で少し安心した息子の表情を今でも覚えています。

転校という選択は簡単ではありませんでしたが、親子で前に進むための大きな一歩になりました。

 

 

付き添い登校はいつまで?疲れた・やめたいと思いながら四肢障害を抱えて8年間続けた母親の最悪の結末

この経験から、子どもや親を支えたいと思い、カウンセラーの資格を取得しました。

今は同じ悩みを抱える方に生きる力を手渡たくて活動しています。


家庭でできるサポート

  • 安心できる日常を整える:生活リズムを守り、心の安定を促す
  • 相談先を確保する:学校や専門機関、スクールカウンセラーと連携する
  • 親自身も支えを得る:親が一人で抱え込まないことが大切

まとめ

子どもが「いじめ」を打ち明けてくれたとき、それは大きな勇気の証です。親ができる一番のことは「受け止める言葉」をかけること。そして一緒に寄り添う姿勢を見せることです。私自身の経験と学びが、同じように悩む親御さんの支えになれば幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

 


私の体験が、同じように悩む親御さんにとって「少し生きてみよう」と思えるきっかけになれば幸いです。どうか無理をせず、必要なときには相談してください。

あなたは決して一人ではありません。

 

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