この記事に書かれている内容
*ちゃんとしたのが生まれると思ったのに
私が生まれた瞬間、医師 看護師は「おめでとうございます」の一言もなく
無言で私を別室に運んだと母から聞いた。
母は産後血圧が高く、暗い部屋に一人その治療でいて
私に会えたのは一か月後だったと聞いた。
母自身が腰痛持ちで私の妊娠に気づく前、
痛み止めを毎日服用していた。
母が妊娠に気が付いた時、母は医師に
「薬を飲んでしまったから堕胎してほしい」と頼んだそう。
医師は「その薬で胎児に影響はありませんから」
と言ったから私を生んだのにと母からよく聞かされた。
当時のことについて母はいつも口癖のように
「ちゃんとしたのが生まれると思ったのに、
ふたを開けてみたらあんたみたいなのが生まれたのよ・・・」と私に言った。
*私はこの世に生まれない方がよかったの?
私はこの世に生まれない方が親に迷惑をかけなくてよかったの?
この気持ちはずっと持ち続けたまま生きてきました。
*医者に頼んで殺してもらえと言われた私の誕生
父は、
私が生まれた時、医師や看護師から呼ばれ私の症状を聞き、
母の母へ(祖母へ)生まれたことの報告を電話でした。
祖母は「母子ともに元気なのかい」と父に聞いた。
父は電話越しで泣いて話さない。
父は私を「眉毛はびっこだし、手も足もちゃんとしていないし、唇も」と言った。
それを聞いた祖母は「それなら医者に頼んで殺してもらえ」と言った。
このやり取りを私はお盆と正月に毎回祖母から、親戚が大勢いる中で聞かされた。
父が当時電話越しで話したことばについて
祖母は口唇裂について「みつくち」という表現をしてきた。
私の手についても「かたわ」という表現をしてきたのだ。
*もう関わらないと決めた日
そしてこの話を聴いた後すぐに、
祖母は親戚が大勢いる前で笑いながら
「殺してもらえと言ってごめんねー」と言った。
私はその話は聞きたくなかった。
しかも大勢がいる中で・・・。
私は聞かされた時泣きたかった。
でも私は祖母が望む言葉を選んで返事をした。
「そう思うのも仕方のないことだったよね」と。
言葉と本心は真逆な返事を…。
祖母のことは昔から差別が多く、大嫌いではあったが、
その日を境に二度と関わらないと決めた日となった。
*親戚中からの差別と偏見
父の母(祖母)は私の母に
「親戚でそういう障がい者は元々いたんじゃないか。
遺伝なんじゃないのか。」と。
母方の親戚に昔から障がい者がいたのを黙って結婚したんじゃないのか」と
詰め寄ったこともあるそうだ。
私以外に障がいを持って生まれた人はいないのだけれど。
そんな認識になる人もいるようだ。
母の祖母は私と会うたびに
「お前のお母さんはお前が生まれたことでお前のせいで大変だったんだからな、
ちゃんと親孝行せえよ」と何度も言った。
*実父からの暴力と性虐待のはじまり
母ははっきり言って私の面倒はみていない。
父に食事の用意、通院の付き添い、父と風呂に入ること
全ての面倒を父にやらせていたのだから。
だから押しつけられた父からの私への性虐待と暴力が始まったのだ。
そのことを未だ母は知らないのだ。まさか母が原因だとは。
*私は必要とされてないんだ
私の住んでいた場所は父の社宅だった。
周りは父の会社の人ばかりの中に住んでいた。
それが母にとっては「私を隠さなければならない状況」となった。
母と公園に行ったことはなかった。
行ったとしても「近所からとても遠い公園に日曜日に父がいるときのみ」
母はいつもテレビの前で横になり寝ていた。
私はつきっぱなしのテレビを見る毎日。
幼いながらに起こしてはいけない雰囲気を察して静かにしている自分。
母は私を部屋に置いて一人で買い物に行く。
母がいないことにとても不安と恐怖を感じていた幼い頃。
気が付くと「何で生んでしまったんだろう」
「こんなに悩むなら生まなきゃよかった」と泣く母の声。
それを「大丈夫だ」と背中をさする父の姿。
その様子を見ながら育った私は
「私は生まれた時から親に迷惑をかけているんだ」と
「必要とされていないんだ」と
自分の中にその信念がしみ込んでいった。
*母からもらったボールは偽物の愛
予防接種の時珍しく母が
「泣かなかったら欲しいものを買ってあげるからね」と言った。
私はとっても嬉しかった。
だから予防接種を泣かないで我慢した。
そして買ってもらった黄色いボール。私の宝物になった。
でもこの時の黄色いボールをなぜ買ってくれたのかと10年前ぐらいに聞いた時、
「泣かれるとみんなが振り向いて
手がないことに気付かれるからよ」と母は言い放った。
そこにはわが子を愛する気持ちはなく、
母は母自身がかわいいという気持ちしかないことを再確認した日であった。
*あなたに必要だからと強要された小学校受験
私には社宅の子供たちが行く公立の小学校へ行くという選択肢はなかった。
初めから私立2校のどちらかを選びなさいという状況だった。
勉強なんてしたくなかった。
他の子みたいに普通に遊んでいたかった。
母は私を心配しているかのように
「あなたに必要だから」と毎日の勉強を強要した。
ここにあるのも我が子への愛ではなく「母自身への愛」なのである。
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琉球新報掲載|講演会講師経験|pansakuトークライブ性暴力被害者支援主催|
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